すみだゆかりの人物を紹介します(舟橋聖一)

掲載日
2021年7月26日

墨田区で生まれた、育った、暮らしたなど、すみだにゆかりのある人物を紹介します。

舟橋聖一

舟橋聖一
画像は、『墨田人物誌』(墨田区区長室/編集・発行、1984)より
生年月日:明治37年(1904)12月25日
没年月日:昭和51年(1976)1月13日
職業:小説家

プロフィール

  東京帝国大学(現在の東京大学)工科助教授の父と古河合名会社理事長の長女である母のもと、本所区横網町2丁目(現・横網1丁目)に生まれる。東京帝国大学在学中の大正14年(1925)新進演劇家として知られた村山知義、歌舞伎役者の河原崎長十郎らと劇団心座を結成。自作の作品を上演してその名を高めた。
 小説では昭和9年(1934)発表の『ダイヴィング』をはじめ、『木石』、『雪夫人絵図』など微妙な男女間の心情を描いた作品を発表した。同28年(1953)年に発表した『花の生涯』は、NHK大河ドラマの第一作として同38年(1963)にテレビ放送された。同39年『ある女の遠景』で毎日芸術賞を受賞。同42年『好きな女の胸飾り』で野間文芸賞受賞。
 文筆の傍ら、日本文芸家協会理事長、文部省国語審議委員、芥川賞選考委員、横綱審議委員会委員長などの要職も務め、芸術院会員にも任じられた。昭和50年(1975)文化功労者。

墨田区とのかかわり

 横網町の生家の裏には隅田川からの掘割が流れ、隅田川の対岸には柳橋の花街を眺める下町情緒ある環境の中で幼少期を過ごした。生家の筋向かいには相撲部屋があり、物心つく頃には相撲に親しんでいた。母の実家が本所番場町(現・東駒形1丁目)にあり、生活の半分をこちらの家で過ごし、芝居好きの祖母に連れられて芝居見物に通ったという。自身の療養や父親の転居により生家を離れることとなったが、相撲と芝居は一生の情熱の対象となった。
 すみだを舞台にした作品に、『川音』、『墨田川』、『墨田川物狂い』などがある。自伝『文藝的な自伝的な』には、すみだで過ごした幼年期の思い出が描かれている。
 昭和25年(1950)から横綱審議委員会の委員を務め、同44年(1969)からは委員長となった。相撲の歴史や文化、戦前の角界について論じた『相撲記』がある。
 生家の跡地(横網1-11)には、代表作『花の生涯』の題字と作家・井上靖による献辞が刻まれた記念碑が建っている。

参考文献

墨田人物誌(墨田区区長室/編・発行、1982)
父のいる遠景(舟橋美香子/著、講談社、1981)
芸者小夏(講談社、2013)巻末年表

著作

ある女の遠景(舟橋聖一/著、小学館、2020)
文藝的な自伝的な(舟橋聖一/著、幻戯書房、2015)
花の生涯 上・下(舟橋聖一/著、祥伝社、2007)
絵島生島 上・下(舟橋聖一/著、新潮社、2007)
川音(舟橋聖一/著、有恒社、1946)

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