永井荷風(すみだゆかりの人物を紹介します)

永井 荷風

永井荷風
画像は、『アサヒグラフ』 1952年11月12日号(朝日新聞社)より(パブリックドメイン)
生年:明治12年(1879)12月3日
没年:昭和34年(1959)4月30日
職業:小説家

プロフィール

 小石川区金富町(現・文京区春日)に生まれる。本名は壮吉。父・久一郎は官僚で漢詩人、母・恒(つね)は漢学者・鷲津毅堂(わしづきどう)の娘。19才のとき小説家・広津柳浪(ひろつりゅうろう)の門下となり、作品を発表し始める。明治36年(1903)アメリカに留学、ニューヨーク、ワシントンを経てフランスでも学ぶ。同41年(1908)帰国、『あめりか物語』を刊行。同43年(1910)慶應義塾大学の教授となり、『三田文学』を創刊。大正7年(1918)37歳のときに日記『断腸亭日乗』の執筆を開始、死の前日まで書き続ける。同9年(1920)麻布市兵衛町(現・港区六本木)に居宅を作り、「偏奇館(へんきかん)」と名付ける。昭和12年(1937)玉の井を舞台とした『濹東綺譚』を発表。
 戦後は千葉県市川市に住み、『荷風全集』の編集や短編作品の執筆を行った。昭和27年(1952)に文化勲章を受賞。

墨田区とのかかわり

 荷風とすみだのかかわりは、中学時代に始まる。大川(隅田川)端の水連場で泳ぎを習ったりボートを漕いだりしたことを、随筆『夏の町』の中で「最も愉快な記憶の一ツ」と振り返っており、これがのちの隅田川への愛着につながったとみられる。
 すみだの地が舞台の作品は、『寺じまの記』、『すみだ川』、戯曲『春情鳩の街』など多数あるが、最も有名なのが玉の井(現・東向島)を舞台にした『濹東綺譚』である。昭和12年(1937)4月から『東京朝日新聞』で連載を開始したこの作品は、荷風自身がモデルとされる主人公と娼婦お雪の交情を描き、玉の井の地を一躍有名にした。

参考文献

著作

関連リンク

すみだゆかりの人物紹介

墨田区で生まれた、育った、暮らしたなど、すみだにゆかりのある人物を紹介します。

掲載日:2020年9月1日