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2021年12月 クロマトピア-色の世界 写真で巡る色彩と顔料の歴史-

過去のオススメ本一覧

クロマトピアー色の世界 写真で巡る色彩と顔料の歴史ー
デヴィッド・コールズ/著 エイドリアン・ランダー/写真 井原恵子/訳 
グラフィック社/2020.09



 先史時代に描かれた馬や牛の洞窟壁画を本で見たことはありませんか?これらの絵は、赤土や黒土といった天然鉱物顔料を獣の脂などと混ぜて壁に塗り描かれています。人類が初めて手にした色材はこの赤土と言われていますが、その後も人類は数々の顔料や染料を原料の毒性や希少性などの困難にぶつかりながらも追い求め、きらめく色の世界を手にしてきました。

この本の著者も、少年の日に手にした「顔料のセット~小びんに詰まったきらめく宝石のような粉」に魅了されて以来色彩を追い求め続け、世界で一目おかれる油絵具メーカーを創業するに至りました。
ここには美しい写真とともに60にも及ぶ顔料それぞれの歴史、製法、エピソードがつづられています。いままで何も考えずに使っていた1本の絵具のチューブにこれだけの背景があることに驚かされます。また皇帝しか身につけられない色があったように、色彩が担ってきた象徴性やコミュニケーションツールとしての側面にも気づくことでしょう。ぜひページをめくり色彩の世界に旅してください。
 
 そして先史時代の人類はなぜ顔料を用いて絵を描こうとしたのか、何を表現したかったのか、美術のはじまりについても興味がわいたひとにはこちらの本もオススメします。
 

なんで洞窟に壁画を描いたの?ー美術のはじまりを探る旅ー(13歳からの考古学)

五十嵐ジャンヌ/著 中島梨絵/画 新泉社/2021