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2025年12月 カトリと眠れる石の街

過去のオススメ本一覧

カトリと眠れる石の街

東曜太郎/著 まくらくらま/装画
講談社/2022.9

カトリと眠れる石の街
19世紀のエディンバラを舞台に、奇病の謎を探る二人の立場の異なる少女の物語が始まる。
金物屋の娘カトリは旧市街に住む労働階級の少女だ。頭もよく、筋道を通し、しっかりしているが、19世紀ではまだ、女性は自由に生きられない時代だった。それでもカトリは金物屋を継ぐという自分の将来に納得していた。その仕事にやりがいも感じていた。
一方、寄宿学校で学ぶ中産階級の少女リズは、よい教育を受けていたが自分の将来に失望していた。そんなリズの父が奇怪な病にかかった。魂を奪われたようにいつでも眠ってしまうのだ。医者にかかっても解決はしなかった。そのうちにリズは、エディンバラの、特に旧市街で同じような病が頻発していることに気づく。
そしてカトリと出会い、二人は謎に迫っていく——。

19世紀のエディンバラと、地下都市の雰囲気がとても素敵な物語です。

続編もあります。

カトリと霧の国の遺産 2.カトリと霧の国の遺産
東曜太郎/著 まくらくらま/装画
講談社/2023.9
一作目の冒険の縁で博物館で働き始めたカトリ。だが想像していたよりずっと大変で、うっすらと後悔を始めていた。
舞台である19世紀は、まだ女性はほとんど社会に進出していない時代だった。「女のくせに」「女だてらに」今でも消えないそんな言葉がずっと重かった時代なのだ。
つぶされそうになる中で、選択したこの道でよかったのか、自信がなくなってきたのだ。
そんなある日、亡くなったバージェス男爵の遺産が博物館に寄贈される。
ビザンティンの見事なコレクションだったので、予算獲得のために客を呼びたかった博物館は、特別展を開くことにする。
ところが、その会場で次々に人が行方不明になり、どうやらコレクションの中の一つ、ネブラ年代記と関係があるとわかる。ネブラとは霧という意味だ。そして、カトリはあやしい霧を見るようになり——。

カトリと夜の底の王 3.カトリと夜の底の主
東曜太郎/著 まくらくらま/装画
講談社/2025.4
2作目でネブラ年代記をひそかに手に入れたリズ。何かを企んでいるようだが、ネブラ年代記の行方を知らないカトリは、変わってしまったリズに戸惑うばかりだった。
そんなある日、カトリは館長からロンドンの女学校の校長を紹介され、すばらしい条件での進学の道を提案される。
しかし時代は19世紀。イギリスでもまだ女性は家に縛り付けられていた。進学して、その後夢を叶えたとしても、その道は決して楽ではない。険しく苦しい、戦いの道だとカトリは覚悟を問われる。
そんな時に、リズから連絡が来る。
これまでの怪事件の裏側にいる黒幕は、エディンバラの郊外の小さな海辺の町、マッセルバラにいるかもしれない、と。